寅・虎・とら
令和4(2022)年の干支は「寅」。そこで当館にいる寅(虎)をいくつか紹介します。 描金方格規矩四神鏡 (前漢 図124)から「白虎」 第1展示室にて展示中 金の細線で四神を描いた銅鏡。四神は天の四方を司る霊獣であり、白虎は西を司ります。 写真の白虎は左側に頭があり、猫のような、豹のような顔がこちらを向いています。 盤龍鏡 (後漢 図160) 第1展示室にて展示中 龍(右)と虎(左)が対峙する姿を表しています。 四神のうち、青龍と白虎は共同で不幸を退ける役割も担います。 盤龍鏡は不幸を退ける役割をクローズアップさせたものと考えられます。 四神十二支紋鏡 (隋-唐 図184) 第2展示室にて展示中 方格規矩四神鏡と同じく四神と十二支を表しています。 写真の上が北にあたり、左の矢印が西を司る「白虎」、右の矢印が方位を示す「寅」。 十二支は元来日時や方位を表し、「寅」の方位は東北東よりやや北を示します。 隋唐の時代、十二支が動物の姿で銅鏡に表されるようになります。 方格規矩四神鏡 (新 図132)から十二支の「 寅 」 現在展示していません 十二支は元来動物の姿をしていませんでした。 方格規矩四神鏡 (新 図132)から四神の「 白虎 」 現在展示していません この白虎はカエルのいる円い月を手にしています。 蟠螭紋錞于 (ばんちもん じゅんう) 戦国時代 現在は展示していません 錞于は長江流域で発達した打楽器(ドラム)。上部に虎形の鈕(ちゅう)がつきます。 古代中国では、虎は最強の獣として王権を象徴する一方で、時として人をも食らう獣として恐怖の対象でもありました。その強く、恐ろしい存在は、神や人々を取り巻く自然にも通じます。そのため虎は神聖な獣として古くは商(殷)時代の青銅器のモチーフにもなっています。その後、銅鏡の図像などにも用いられ、弥生時代の日本にも伝わりました。しかし日本人に虎のイメージが定着するのにはさらに時間が必要でした。