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古代鏡展示館の鏡

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 古代鏡展示館では約90面の古代中国鏡をご覧いただけますが、鏡のどこで顔を映すのか? 鏡の顔を映す面はどうなっているのか?というご質問を毎日のようにいただきます。 今回は、当館のさまざまな鏡を紹介しましょう。 ガイダンス展示の鏡 展示室に入ってまず目に入るのが鏡台に据えた鏡(白矢印)。のぞき込む方も多いのですが、これは樹脂の表面に金属を密着させたレプリカの鏡。 現代の鏡はガラスの裏面に銀メッキを施すなど薄い金属を密着させて製造しています。 左側の 内行花紋鏡 (黄矢印)が本来鏡台に置かれた鏡。鏡背面を展示しています。 当館に限らず博物館等の多くは、一般的に銅鏡の鏡背面(裏側)を展示し、鏡面(表側)はご覧いただけません。いつの時代の鏡も鏡面は平滑。一方、紋様のある鏡背面は時代を反映し、変化しています。鏡背面側を展示するのはこのためです。 内行花紋鏡 の鏡面(図録140 新(王莽)) 鏡面は、錆と繊維が付着しているため全く姿は映りません。 (※通常、鏡面側は展示していません) 異体字銘帯鏡 (清銀鏡)の鏡面(図録105 前漢) 館蔵品の銅鏡の中で最も鏡面の状態が良好な鏡です。 撮影している筆者の姿が映っているはずですが・・・ (7月19日(火)まで鏡面側を展示中) 銅鏡は金属製のため、表面が空気に触れることで酸化して曇りやすく、手入れを怠ると姿が映りにくくなります。やがて曇りは錆へと変化し、金属を蝕みます。 展示室入口の大きな鏡 入館される大半の方が素通りする受付前の鏡は古代鏡と同じく金属を磨き仕上げたもの。 現在の工業技術でステンレスの表面を磨いています。金属も磨けば、ここまで映ります。 エントランスホールで展示中の復元した鏡 古代鏡と同じ青銅製、手作業で磨いた鏡です。 エントランスホールではこの鏡の制作過程の映像をご覧いただけます。 最後になりますが、 当館トイレの手洗場に設置の鏡 この鏡は現代の鏡ですが、古代鏡展示館にふさわしい円形の鏡にこだわりました。お気づきになりましたか。