謎の顔

 

当館で新しく展示している商(殷)~春秋戦国時代の青銅器の表面には、奇怪な顔が表現されているものがあります。

獣面紋鐃(どう) 商~西周
「青銅の響き」にて展示中

当館では「獣面紋」と呼んでいますが、古くから饕餮(とうてつ)とも呼ばれています。複雑な紋様ですが、じっと観察すると先端が巻いた羊のような角、にらみつけるような大きな目が印象的な顔が読み取れます。

獣面紋觚(こ) 商 (部分拡大)
「古代中国金工の歴史」にて展示中

この紋様の正体は明らかでありません。

饕餮とは、想像上の大食いの怪物のこと。怪物が表現されているのは、魔物をも食らい尽くすという意味があるのでしょうか。また、それとは逆に天上の最高神の姿とする説もあります。

いずれにしてもこの顔は、大きな目で魔物を見極め、威嚇する存在であることは間違いないようで、魔除けの役割から青銅器の主要な紋様として用いられているようです。

当館第1展示室ではこの他にも様々な獣面紋のある青銅器を展示しています。謎の紋様とじっくり向き合ってみませんか。