寅・虎・とら
描金方格規矩四神鏡(前漢 図124)から「白虎」
第1展示室にて展示中
金の細線で四神を描いた銅鏡。四神は天の四方を司る霊獣であり、白虎は西を司ります。
写真の白虎は左側に頭があり、猫のような、豹のような顔がこちらを向いています。
盤龍鏡(後漢 図160)
第1展示室にて展示中
龍(右)と虎(左)が対峙する姿を表しています。
四神のうち、青龍と白虎は共同で不幸を退ける役割も担います。
盤龍鏡は不幸を退ける役割をクローズアップさせたものと考えられます。
四神十二支紋鏡(隋-唐 図184)
第2展示室にて展示中
方格規矩四神鏡と同じく四神と十二支を表しています。
写真の上が北にあたり、左の矢印が西を司る「白虎」、右の矢印が方位を示す「寅」。
十二支は元来日時や方位を表し、「寅」の方位は東北東よりやや北を示します。
隋唐の時代、十二支が動物の姿で銅鏡に表されるようになります。
方格規矩四神鏡(新 図132)から十二支の「寅」
現在展示していません
十二支は元来動物の姿をしていませんでした。
方格規矩四神鏡(新 図132)から四神の「白虎」
現在展示していません
この白虎はカエルのいる円い月を手にしています。
古代中国では、虎は最強の獣として王権を象徴する一方で、時として人をも食らう獣として恐怖の対象でもありました。その強く、恐ろしい存在は、神や人々を取り巻く自然にも通じます。そのため虎は神聖な獣として古くは商(殷)時代の青銅器のモチーフにもなっています。その後、銅鏡の図像などにも用いられ、弥生時代の日本にも伝わりました。しかし日本人に虎のイメージが定着するのにはさらに時間が必要でした。