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走れ 「かささぎ」

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 新しい新幹線、西九州新幹線の武雄温泉駅~長崎駅の区間が9月23日に開業します。 現在、長崎本線を走る特急「かもめ」は新幹線の列車名に昇格、そして、在来線の特急として「かささぎ」がデビューします。 「かささぎ」という名称は、佐賀県の県鳥にちなんで特急名として採用されたのでしょう。中国では、鵲(かささぎ)は七夕に天の川に橋を架けて牽牛・織女を会わせたという伝承から、男女の仲をとりもつとされ、その姿は鏡の図像や美術工芸品の意匠などにも表されています。また、日本で唯一生息する佐賀県周辺では、「カチカチ」という鳴き声から「勝ち」に通じる縁起がよい鳥とされています。 月宮双鵲銜綬龍濤紋八花鏡(唐 図290) 中央で向かい合う2羽の鳥が鵲(かささぎ) 第2展示室にて展示中 西九州新幹線は、これから東伸する計画だそうです。将来、特急「かささぎ」がどうなるかわかりませんが、縁起の良い列車名として長く親しまれるといいですね。

月面探査と鏡

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2019年を迎えて早々、中国の無人探査機が世界で初めて月の裏側へ軟着陸に成功、というニュースが飛び込んできました。 21世紀に入り開始された中国の月面探査は「嫦娥(じょうが)計画」と呼ばれています。 嫦娥とは、月に住む仙女と紹介されていますが、物語では夫が入手した不老長寿の薬を盗んで月まで逃げたものの、罰として蟾蜍(せんじょ:ヒキガエル)にされたと伝えられています。古代の中国では、月を象徴する生き物が蟾蜍でした。 月に関する故事をモチーフにした月宮図鏡(唐)の中で、左手に盤を持ち、駆けている女性が 嫦娥だと考えられています。 月宮図鏡(図289)と 嫦娥 と推定される女性 今回、月の裏側に軟着陸したのは「嫦娥4号」で、そこから降り立った探査車の名は「玉兎(ぎょくと)」。玉兎とは皆様ご存じの月のウサギです。中国では蟾蜍とともに月にいると信じられていました。日本ではウサギは月で餅つきをしているとされていますが、本来は不老長寿の薬を作っているとされます。 月宮図鏡に表された玉兎 月の裏側に着陸した「嫦娥4号」は地球と直接交信できないことから、事前に「鵲橋(じゃくきょう)」という名の通信中継衛星も打ち上げました。以前のブログでも紹介しましたが、鵲(かささぎ)は七夕の夜に天の川に橋を架け牽牛と織女を取り持った鳥。この故事にちなみ、「嫦娥4号」と地球との通信を橋渡しする役割から命名されたのでしょう。 唐の時代に制作された 月宮双鵲銜綬龍濤紋八花鏡には、 今回の探査機器のルーツがすべて表現されています。 月宮双鵲銜綬龍濤紋八花鏡(図290) 鏡背面に月、鵲、龍の3つの吉祥の図像を集約させたおめでたい鏡です。鈕を挟んだ左右の鳥が鵲、その上の円い月の中に嫦娥が姿を変えた蟾蜍と玉兎が表されています。 地球に最も近く、夜最も明るく輝く天体である月。そして常に姿を変える月に対し人類は古くから関心を注ぎました。国家が威信をかけて最先端技術を投入する月面探査ですが、中国に限らず探査機などの名称は月に関する神話や故事にちなんで命名されています。 鏡にも表された伝説や神話が現代にも息づいていることを感じるニュースでした。 今回紹介した2面の鏡は、企画展「唐王朝の彩り 宮廷の栄華をうつす金銀銅」にて展示中。会期は3月12日(火...

七夕と鏡

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もうすぐやってくる7月7日は七夕。牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)が天の川を渡り、年に一度合うことが許されている日です。 このとき、天の川に橋をかけ、二人の出会いを助けるのが「鵲(じゃく)」、すなわちカササギです。 この伝説は中国のものですが、古代の日本でも知られていたようで、百人一首の「中納言家持」が詠んだ 「かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける」 というの歌からもうかがえます。 このカササギが表された中国鏡があります。 「月宮双鵲銜綬龍濤紋八花鏡(げっきゅうそうじゃくかんじゅりゅうとうもんはっかきょう)」 名称をわかりやすくすると、 ①<月宮>・・・・月(ウサギ・カエル・桂樹)の紋様、 ②<双鵲銜綬>・・向かい合うカササギが、鈴付きの紐(綬)をくわえている紋様 ③<龍濤>・・・・龍が波しぶきを上げて飛翔する紋様  の3種の主紋様が表された、 ④<八花鏡>・・・外形が八枚の花弁のような形をした鏡 ということになります。 カササギは男女の仲をとりもつ瑞鳥と考えられていたようで、鏡の紋様としては、特に唐時代に流行しました。左右に向かい合う対鳥形式は幸せな恋愛や夫婦生活を願ったものとされています。 中国六朝時代(約1,700~1,400年前)の歌には、鏡は女性の持ち物で、女性が鏡の前で遠くにいる夫や恋人を思う、というのが一つの定形であったようです。 この鏡も女性が恋愛成就を願って所持していたのかもしれません。 女性が恋愛を成就し、夫婦円満に過ごすため、鏡に顔を映しながら化粧をした想いは、今の時代よりもずっと強く、切実であったことでしょう。 ちなみに、この七夕の「7月7日」ですが、梅雨の頃で星もなかなか見られません。しかし、本来は旧暦である太陰太陽暦の7月7日のことなので、現在使われている明治6年以降の暦の「7月7日」とは季節が異なっています。 国立天文台 によりますと、「月齢およそ6の月が南西の空に輝く夏の夜」にあたり、伝統的七夕の日の定義は、 「二十四節気の処暑(しょしょ=太陽黄経が150度になる瞬間)を含む日かそれよりも前で、処暑に最も近い朔(さく=新月)の瞬間を含む日から数えて7日目」 だそうです。 結局のところ、年によって異なっており、2017年の今...