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ブドウがいっぱい

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フラワーセンター内を歩いていると、大温室脇の木漏れ日の小道でブドウが実っているのを発見しました👀


 ここ兵庫県加西市は、ブドウの産地。
 市内にはブドウ畑が広がり、これからの季節、あちこちの道沿いでブドウの露店が営業をはじめます。

 ところで、古代鏡展示館では、たわわに実る葡萄を いつでも ご覧いただけるのをご存じですか?
海獣葡萄鏡(図録番号225)
 唐代に多く制作され、千石コレクションの中で最も数が多い海獣葡萄鏡は、その名称が示すとおり、異国の動物である獅子をモチーフにした「海獣」と「葡萄唐草」が主紋様のひとつになっています。

 「葡萄唐草紋」は、紀元前4世紀頃にギリシャで生まれ、西アジアを経て中国へ伝わりました。当時の中国では、葡萄は大変珍しく、たくさんの実をつけることから多産と繁栄を象徴するおめでたい植物として、鏡の紋様にあしらわれていたのです。

 当館では、これら海獣葡萄鏡をじっくりご覧いただく夏季スポット展「海獣葡萄鏡の世界2」を、7月19日(木)から9月11日(火)まで開催します。

 この夏、涼しい展示室内で、唐代の人々が好んだ葡萄をぜひご堪能下さい!


 お帰りの際は、お土産に加西産のブドウもお忘れなく☺




本日はお日柄もよく

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関東では例年より早く6月で梅雨明けしましたが、全国的には梅雨まっただ中、湿度も高く1年の中でも過ごし辛い時期です。しかしヨーロッパの6月は気候が穏やかで、ジューンブライド(6月の花嫁)の季節。この時期に結婚したカップルは幸せになると信じられています。(諸説あります)
結婚式といえば、「本日はお日柄もよく・・・」とお馴染みの挨拶のように大安吉日を選んで婚礼を行うのが当たり前でした。
古代中国でも吉日を選んで結婚式の日取りを決めていたことがわかる鏡があります。

画像鏡(後漢 図録番号146)と「良時日衆大富」の銘 画像鏡の外圏の銘帯には、「良時日衆大富」(時日良ければ、家は大いに富まん)と記されています。「吉日を選び、この鏡を用いて婚礼を行えば、新郎新婦のご両家は富み栄ます」という意味。吉凶の巡りは宇宙の法則によるので、その法則に従い婚礼の日取りを決めれば新郎新婦ご両家に幸福が訪れるという効能書です。効能を信じて、この鏡を手に結婚したカップルの未来はどうだったのか気になります。
今回紹介した鏡は、企画展「吉祥の図像 鏡に表された願い」で展示中です。

ところで、この鏡、当初は西王母と東王父の図像があったことが銘からわかるのですが、出土時に破損し西王母の像があるべき部分が失われ、樹脂で修復されています。一見するとオリジナルの部分と区別ができない巧みな修復の痕跡もご自身の目で確かめてみて下さい。
画像鏡(図録番号146)X線写真 右上が東王父の図像、黒い部分が欠損し補修した箇所

顔出しパネルの登場です

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昨年に引き続き、今年も作成しました。
古代鏡展示館オリジナルの顔出しパネルが登場です💃


今回は、現在開催中の企画展「吉祥の図像」より、不死を司る女性神の西王母(せいおうぼ)と相対する男性神の東王父(とうおうふ)をモデルとしました。【重列式神獣鏡より】 足元に描かれた青龍と白虎は、協力して不幸を取り除くとされています。【画像鏡より】

ご来館の際は、ぜひこのパネルで記念撮影をどうぞ!

平成30年7月17日(火)まで古代鏡展示館前に設置しています。
なお、モデルとなった神々が表された鏡は館内にて展示中です。

皆様のステキな顔出しを、心よりお待ちしています☺

謎の石像

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古代鏡展示館へお越しの際、入り口の向かい側に動物の姿をした石像が1対置かれているのにお気づきでしょうか。フラワーセンターのお客様も「何?」とのぞき込みながら歩かれているのをよく目にします。

石像の正体は琉球の守護神シーサーです。フラワーセンターが開園した昭和51年、沖縄県から兵庫県へ友好の証として贈られたもの。以来40年余りフラワーセンターを見守り続けています。
ガイドブックなどでよく目にするシーサーは屋根の上にいますが、これは瓦葺きが普及した近代以降の姿。古くは城門や集落の入り口などに一対を設置し、悪霊の侵入を防ぐ役目をもっていました。
シーサーはその姿の通り獅子に由来し、さらにさかのぼると西南アジアに生息したライオンにたどりつきます。ライオンは、力の象徴として古くから美術品や紋章に表現されました。これが中国へ伝わると獅子となり、瑞獣として鏡のモチーフにも取り入れられます。当館で最も数の多い海獣葡萄鏡の主紋様である海獣も西から伝わった獅子紋の影響を受けてかたちづくられたものと考えられています。

               海獣葡萄鏡(図録番号225)

中国でかたちづくられた獅子は、さらに周辺地域へ広まりました。日本では絵画や工芸品の中に様々な姿で表現され、神社の狛犬やお正月の獅子舞など日常風景にも溶け込んでいます。そして、琉球へ伝わった獅子を琉球語で表したのがシーサーでした。

6月23日は沖縄戦が終結した日。獅子の文化は大きな輪でアジアを取り巻き、そして今も私たちの周りで生き続けています。様々な獅子の姿をフラワーセンター・古代鏡展示館でご覧下さい。


企画展「吉祥の図像」開催中です

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古代鏡展示館ファンの皆様、ブログがしばらく途絶えていましたこと、お詫びいたします。

今回は、遅ればせながら、春季企画展「吉祥の図像 鏡に表された願い」開催のご案内。
見学の方から「吉祥」ってどういう意味?、どう読むの?というご質問をいただきます。
わかりにくいタイトルは良くないなと担当者は少し反省・・・
「吉祥」は「きっしょう」と読み、この上もなく吉なこと、よい前兆という意味です。(『広辞苑』より)
この企画展では、漢の時代(約2000年前)を中心に、この鏡を手にすれば幸せ間違いなし、という鏡を13面展示しています。神々の図像とともに人々の幸福への願いが表された銘文も紹介しています。
企画展「吉祥の図像」は9月11日(火)まで。会期も半ばを迎えようとしていますが、6月からは関連するイベントも毎月行われます。
ぜひ、ご来館下さい。



女と男と鏡② あの世での再会<後漢・隋>

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前回、鏡が結婚の際に用いられたことを示す具体例を紹介しました。

今回は、めでたく夫婦となった、その後の話です。

-1-
589年、中国南朝の陳という国が隋に滅ぼされた時、徐徳言という人が妻に言いました。

「国が亡んだ後、あなたは敵に捕らわれてしまうだろうが、縁あれば再会できよう。
その時のために・・・」

徐徳言はそう言うと、鏡を二つに割り、一つを妻に渡し、残りの一つを自分が持ち、再会して元に戻すことができるよう、誓いをたてました。
(猛棨『本事詩』情感篇より)

結局、この二人は鏡のおかげで無事に再会を果たしました。
こうしたお話から、鏡は男女、夫婦の愛情のシンボルとされていたことがわかります。

今でも夫婦の別れを「破鏡」、そして再会することを、割れた鏡が再び円の形にもどることから「破鏡重円(はきょう ちょうえん・はきょう じょうえん)」といいます。
こうした言葉は、鏡が愛情のシンボルとして特別な役割をもっていることを反映しています。

ー2ー
「破鏡重円」の具体的な様子が、発掘調査で確認されています。
それは洛陽市の焼溝漢墓(しょうこうかんぼ)群38号墓の発掘成果です。

38号墓(後漢代)には3人の人が葬られていましたが、そのうちの2人の傍らに二つに割られた鏡がそれぞれ置かれていました。

洛陽焼溝漢墓群38号墓
(参考文献①より引用、一部改変)
あの世での再会を誓ったのかも知れませんが、少々問題なのがその鏡を持っていた2人の関係です。

主室に並んで埋葬されている2人が夫婦(または夫と第1夫人)とすれば、男性が再会を誓ったのは妻(または第1夫人)ではなく、副室に埋葬された方(第2夫人?)になってしまいます。

発掘調査は当時の鏡文化を知る重要な手がかりを私たちに与えてくれますが、時には他人の秘密を暴いてしまう、ちょっと残酷な側面もあるようです。

ー3ー
せっかくの誓いの証である「破鏡」も、不義理を犯してしまうと、とんでもない行動にでてしまいます。

むかし、ある夫婦が離ればなれになる際、鏡を2つに割り、その破鏡を夫婦で一つずつ持ち合う「破鏡重円」の誓いをたてました。
ところが、妻が別の男と浮気をしてしまいます。すると、妻の持つ破鏡が鵲(カササギ)という鳥になって夫の前に飛んでいき、なんと、妻の浮気を夫に告げ口してしまうのです。
※『神異経』(『御覧』717所収)(前漢か。六朝…

チューリップと団華紋鏡②

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チューリップとトルコとの関わりを調べていると、
チューリップ柄の、おしゃれなトルコ製鍋敷き(タイル)が売られているのに気づき、
思わず買ってしまいました。

「Artnicea社製トルコタイル花型鍋敷き」
ホームページの説明では、
「ホワイトをベースにチューリップやカーネーションが沢山描かれ、紅白カラーが素敵なデザイン。トルコではチューリップは神聖な花として、カーネーションは天国を意味する花として特別な意味があります。そのためトルコタイルにも多く描かれ、トルコの人々に愛されています。 」
ということだそうです。

また、鍋敷きの裏に貼られているクッション材の説明によると、
「16世紀の伝統的なイズニク・トルコ陶芸品」で、
「無鉛の釉薬」がかけられているそうです。
イズニク陶器、イズニクタイルという名前をご存じの方も多いのではないでしょうか。

全体の輪郭も、唐鏡の八稜鏡と一緒!
思わず、うれしくなってしまいました。


八稜形の鏡 (騎馬狩猟紋八稜鏡 図録268)
イズニク陶器には、皿にも八稜形のものもあるようです。
どうやら16世紀に中国のデザインの影響を受けていたそうです。

女と男と鏡① 結婚で用いられた鏡<後漢・唐>

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古代の中国では、結婚に鏡が用いられることがありました。

①夫婦が仲良くなる鏡

ピョンヤン市 貞柏里13号墓 出土「尚方作」獣帯鏡<後漢(25~220年)> (参考文献①より引用)
この鏡には、以下の銘文が記されています。
「(前略)
 嫁入門時 殊大良。
 夫婦相重、甚於威央。
(後略)」

(嫁、門に入る時、殊に大いに良(よろ)し。
夫婦は相い重んじ、威央(=鴛鴦:おしどり)より甚だし)

この鏡をもって嫁入りすると、とっても良く、夫婦は仲良く、
その様は夫婦仲のよい「おしどり」を上回るほどだそうです。

こんな鏡を1枚欲しいと思うときがありますが、
皆さんはいかがでしょうか?(笑)

②両家が結ばれ、子孫繁栄の鏡

<江西省 南昌丁(なんしょうてい)1号墓出土 獣帯鏡<後漢(25~220年)>

この鏡には、以下の銘文が記されています。
「良月吉日、造此倚物。
 二姓合好、堅如膠漆。
 女貞男聖、子孫充實。
(後略)」

(良き月の吉日に、この奇物を造る。
 二姓は好しみを合わせ、堅きこと膠(にかわ)や漆(うるし)のごとし。
 女は貞、男は聖、子孫は充実せん。)

吉日に造った、このめずらしく、不思議な鏡は
接着剤のように堅く両家を結びつける。
女性は堅く誠実で、
男性は知徳にすぐれ、賢く、
子孫は繁栄するだろう。

少子化対策にぴったりの鏡です。

③鏡が登場する唐の詩

王建が詠った詩「老婦嘆鏡」<唐(~830)>

「嫁時明鏡老猶在。
 黄金鏤画双鳳背。
(後略)」

「黄金鏤画」は金銀平脱技法の鏡(下写真参考)、
「双鳳背」は2匹が一組となった鳳が背面に表された鏡のこと。

こうした、双鳳鏡が嫁入り道具として用いられたことがわかります。

<参考>
千石コレクション 金銀平脱 鳳凰紋鏡(図録293) (金銀の板を紋様の形に切り抜き、鏡背面に漆で埋め込んでいる)
同上の鳳凰紋
千石コレクション 双鳳瑞花紋八花鏡(立体画像 図録272)
鳳凰が向かい合う双鳳(同上)
ちなみに、我が家の結婚では、嫁入り道具を入れるとき、 鏡(鏡台)を一番に入れました。 なにやら、「そうするもの」だそうです。 来館者の皆さんに機会があるとお聞きするのですが、 結構、同じようなことをされていました。
日本に残るこのような風習がどこからはじまったのか。 その謎は、古代の中国にまでさかのぼるのかもしれません。
<参…

チューリップと団華紋鏡

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今年は例年より早い見頃となっています、フラワーセンターのチューリップ。
今、真っ盛りです。

4月14日(土)・15日(日)は天候が悪いようで、土曜日の午前中が見頃になりそうです。

きれいに咲き誇るチューリップを見ていると、ある鏡を思い出しました。
現在展示中の隋~唐(6~7世紀)の団華紋鏡(だんかもん きょう)です。

団華紋鏡(図録188)
「団華紋」とは、いろんなおめでたい花を複合し、円形にデザインされた紋様のことです。 その一部の団華紋を見ると、チューリップに似ていませんか?
団華紋鏡の内区の一部
フラワーセンターのチューリップ(4月12日撮影)

団華紋鏡のデザインには、これまでの中国にはない、西域からの影響が色濃く認められます。シルクロードからやってきた人と文化は、民族的な閉鎖性を越え、中国に新しい開放的で華麗な文化を作り出しました。

一方、チューリップの原産地はトルコ周辺だそうで、有名なオランダへは16世紀になってから伝えられました。チューリップの語源も、ターバン(チュルバン、tülbend)からきているとの話もあるとか(wikipedia情報)。

そう考えると、この団華紋のデザインにチューリップも影響を与えている可能性もあるかも。 今後も、注視していきたいと思います。

四神シリーズ⑥ 四神の効能

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四神は前漢から鏡の紋様に登場していますが、そこに記された文字(銘文)の中に、四神がもたらす効能について記されたものがあります。


方格規矩四神鏡のX線白黒反転画像 (新:約2,000年前、千石コレクション123)

同上拡大 「左龍右乕辟不羊。朱鳥玄武順陰陽。」
最初の文字「左」が逆字(左右反転した字。鋳造でつくるため、誤って逆字になることがある)になってますが、漢字なのでほぼ読めると思います。

ここで、「左龍」の「左」についてです。
中国では天子は北側に居り、そこから南を向きます(「天子南面」)。ですから、「左」とは東を指します。
同様に「右乕(虎)」の「右」は西を指します。
これは日本の京都でも同じで、東側を左京区、西側を右京区と呼ぶのと同じことです。なぜなら、京都、平安京も、唐の都、長安をまねているからです。
現在の地図では北が上になっているので、左京と右京が反対になっていますが、その理由は「天子南面」だからです。

話がそれましたが、つまり左龍=東の龍=青龍、右虎=西の虎=白虎、ということです。

さて、ここに記されている四神の役割は、それぞれが東西南北に居て周囲を守る、というような皆で一つの役割を果たすのではないようです。東西の青龍・白虎、南北の朱鳥(朱雀)・玄武がそれぞれペアになって別々の働きをするようです。

まず、「青龍・白虎」ペアの働きは、「辟不羊」つまり「不祥をしりぞける」、良くないことをしりぞける、というものです。
もう一組の「朱雀・玄武」ペアは、「順陰陽」つまり「陰陽をととのえる」、陰と陽を調和し、天変地異がおこらないように穏やかに循環させる、というものです。

当館では、これまでに四神を一つずつデザインしたオリジナルの缶バッジを配布してきましたが、そもそもペアでそろえないと効果が期待できないことになってしまいます。

ぜひ、次の機会にペアをそろえて、四神の効果を発揮させてください。



東西ペア「辟不祥」の缶バッジ


南北ペア「順陰陽」の缶バッジ
<参考文献> 来村多加史 2005『キトラ古墳は語る』日本放送出版協会 岡村秀典 2017『鏡が語る古代史』岩波書店