はじまりの1面

 すべてのものごとにははじまりがあります。

300面を超える銅鏡からなる千石コレクションのはじまりも1面の銅鏡からでした。

美術品蒐集家である千石唯司氏が最初に入手された銅鏡は、瑞鳥紋八花鏡でした。

瑞鳥紋八花鏡(図270 唐)
現在展示していません

飛ぶ鳥と花枝を主紋様とし、余白を活かしたすっきりとした鏡です。

ビジネスで渡航された際に香港の古美術店でこれを目にして購入されたそうです。ものづくりに関わる者として、その鋳造技術に関心を持たれたのが購入の動機だったと伺っています。古美術店とはその後も信頼関係を構築していき、さらに目を肥やしてコレクションを充実されました。
それら作品は兵庫県に寄贈・寄託され、多くの方々の目に触れる機会を得て、今日に至っています。

千石唯司氏が令和5年2月18日ご逝去されました。
これまでのご厚意に感謝申し上げますとともに、謹んでご冥福をお祈りいたします。