黄帝の力で凶を除け!

3月に入り、春が感じられるようになりました。しかし、現在当館は新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から臨時休館となっています。企画展「龍 翔ける!」も会期を残して終了となってしました。ご来館を楽しみにされていた皆様、申し訳ございません。

今回は黄帝のお話。黄帝(こうてい)は、漢民族最初の国家を建国したとされる神話の中の王。後漢時代の神獣鏡に登場します。重列式神獣鏡(図143)の外圏の銘文の中には「黄帝除凶」とあり、凶(不祥)を取り除くことが鏡に表された黄帝の役割のようです。
黄帝の左側に人身鳥頭の姿で描かれている人物は玄女(げんにょ)と考えられています。神話の中で玄女は、苦戦する黄帝を援助して勝利に導いたとされています。武力をもって戦う黄帝こそ凶を撃退して幸福をもたらす、鏡の効能にふさわしかったのもしれません。

   
     重列式神獣鏡(後漢:図143)   黄帝(右)と玄女(左)と推定される像

ところで、黄帝という名前、聞き覚えはありませんか?
黄帝は養蚕や舟、車など人々の生活に関わる様々なものを創造したともいわれています。また、最初に医術を用いて治療を行ったことから、東洋医学の祖とも言われています。
この伝説に由来し、黄帝の名はCMでもお馴染みの栄養ドリンク剤にも使われています。ちなみに、このドリンク剤の入っている箱の色は五行説にちなんで黄金色だとか。

当館の春の企画展「美と微 美の集積と技巧の微」も開館次第スタートします。今しばらくお待ち下さい。
気持ちの良い春を楽しめる日が早く戻ることを祈ります。