虎を象った器

 今回は当館所蔵品の中から虎にまつわる作品を紹介します。その名は虎子(こし)。

さて、この作品の用途は何でしょうか?

ミニチュアの虎子(南北朝時代:6世紀頃) 高さ6.0㎝
第2展示室にて展示中


この器の用途は明かではありませんが、形から男性用の尿瓶(しびん)とするのが有力です。

古代中国の家にはトイレがありましたが、寝室に置かれて夜間寝ている時に尿意をもよおした時などに用いたと考えられています。

虎のような動物を象ったものが多いのですが、その理由はわかりません。

写真の虎子は墳墓に副葬される明器(めいき)と考えられ、前回紹介した投壺(とうこ)などとセットになっています。死者が冥界で生活するうえで必需品の1つだったのでしょう。

余談ですが、幼児が用いる便器を「おまる」と呼びますが、漢字では「御虎子」とも書くそうです。今日の日本にまでその名が残っているんですね。