投壺って何だ?
平安時代を舞台にしたテレビドラマの中で、主要人物が壺に向けて矢を投げて遊ぶ場面がありました。 これは中国にルーツをもつ 投壺 (とうこ)というゲームです。 離れた場所から壺に向けて矢を投げ入れ、その数を競うもので、今日の輪投げのようです。 春秋戦国時代頃には存在し、細かなルールも定められていたようです。主に宴席で遊ばれ、負けた者は罰として酒を飲まされたりしたので、きっとゲームは盛り上がったことでしょう。 さらに投壺は中国周辺国にも伝わり、日本では正倉院に投壺とそれに用いる矢が残されています。 当館のコレクションの中にも投壺があります。 それは、死者が死後の暮らしの中で用いるものとして墳墓に副葬されたと考えられる 響銅ミニチュア明器セット の中にあります。 ミニチュアの 投壺 (南北朝時代:6世紀頃)高10.8㎝ 第2展示室にて展示中 扁平な胴部から長い頸がのびる形が特徴の壺。口縁部から板状の突起が上にのびています。ここをめがけて矢を投げたのでしょうか。 被葬者はきっと生前投壺を楽しんでいた人物。死後も副葬された投壺で楽しい日々を過ごしていたのでしょう。