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モモの話

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 現在、春季企画展「漢代の人々 -姿と想い-」を開催しています。 今回は展示している画像鏡の図像についての話です。 画像鏡 (図147 後漢) 企画展「漢代の人々  -姿と想い-」にて展示中 この鏡は背面に神仙世界を平たい浮き彫りで表しています。左側に西王母、右側に東王父、上に馬車の図像があり、下に踊る女性の仙人(仙女)がいます。 仙女の顔の左側に表されているものはモモの実と考えられています(写真矢印部分)。 踊る仙女(部分:X線写真) なぜモモの実が表されているのでしょうか。 モモは通常の食用のほかに種子は薬としても用いられてきました。また画像鏡のモチーフにもなっている神仙世界の植物として長寿を象徴する縁起のよい植物、魔除けの効能もあると信じられていました。 鏡背面に表されたのも神仙とともに鏡の所有者に幸福をもたらすことが期待されていたのかもしれません。 モモは日本に弥生時代以降に伝わり、遺跡からはしばしばその種子が廃棄とは異なる状態で出土します。『記紀』には、黄泉の国でイザナミの姿に恐れをなして逃げるイザナギが黄泉の国と現世の境界に生えるモモの実を投げ、黄泉の国の神を退ける物語が記されています。中国文化の影響を受けていた日本でもモモは魔除けの力を有する植物と信じられていたことがわかります。 これからモモのおいしい季節。デザートとして口にする時、こんなエピソードがあることを思い出してみて下さい。