亀ノ倉池(フラワーセンター内の歴史遺産2)

フラワーセンターの中央に位置する亀ノ倉池。面積約7㌶(甲子園球場約5個分)の農業用ため池です。本来なら五月の空をこいのぼりが泳いでいるはずだったのですが・・・
野生の水鳥も去り、静かな水面をフラワーセンターのマスコットあひるちゃんが寂しく泳いでいます。

2009年 国土地理院撮影
兵庫県は全国一のため池王国。当館が所在する加西市もため池が多く、特にフラワーセンター周辺は台地縁辺の谷をせき止めたため池が密集しています(矢印が亀ノ倉池)。

ため池は農閑期に水を干します。数十年前、播磨地域の旧石器・縄文時代の人々の痕跡を明らかにするため、考古学研究者が干上がったため池を踏査し、多くの石器が採集されました。
亀ノ倉池の底からも縄文時代前期(約7000年前)の石鏃(せきぞく:石製矢じり)などが、また旧石器時代(約2万年前)の石器も採集され、亀ノ倉遺跡として周知されました。

亀ノ倉遺跡採集の石器(縄文時代)
加西市 2010年『加西市史第7巻 史料編Ⅰ 考古』から引用

満々と水を貯える亀ノ倉池ですが、実は水深は浅く、もとは山から続くなだらかな地形でした。山が季節風を遮り、南に開けるこの地は、人々の活動に適した場所だったと想像できます。

危険防止のため池への立ち入りはできませんが、池の周囲約1.3㎞は周遊路が整備されています。古代鏡展示館、フラワーセンターが再開したら、ぜひ花と緑を見ながらウォーキングをお楽しみ下さい。