飯盛山(フラワーセンター内の歴史遺産1)

新型コロナウィルスのため古代鏡展示館と県立フラワーセンターは臨時休館・園しています。1年で一番賑わう花の季節に人影がないのは違和感を感じます。池の水鳥や魚は静寂の中でくつろぎ、時折通る関係者の姿に驚いています。

普段は様々な花を見ることができるフラワーセンター。その北西側に古代鏡展示館があります。花が咲き誇る園内は、歴史遺産に恵まれた場所でもあります。今回はセンター内にある歴史遺産の1つ、「飯盛山」を紹介します。


当館(矢印)の背後の山が飯盛山。標高123m、ふもとからの高さは約50m、山というより丘と言った方がよいくらいの大きさです。
この小さな山は、奈良時代に編纂された『播磨国風土記』の「賀毛郡楢原里」に記載された「飯盛嵩(いいもりだけ)」に比定されています。
『風土記』によると、飯盛嵩の名は、大汝命(オオナムチノミコト=オオクニヌシノミコト)がご飯を山の高さに盛ったことに由来するそうです。(原文「大汝命之御飯 盛於此嵩 故曰飯盛嵩」)
西から見た飯盛山は、ご飯を盛ったような丸みをもった山容。周りに高い山がなく、小さくても印象的な姿です。

当館から徒歩約15分で山頂へ。遊歩道が整備され、山頂近くには展望台もあります。


展望台から南を見ると、彼方には『風土記』に飯盛嵩と並んで記載される「粳岡(ぬかおか)」に比定される糠塚山(矢印)が整った山容を見せています。ふもとには大きなため池と水田が広がっていますが、100年以上前は一帯が山林・原野でした。
古代の人々にとっての飯盛山は、その姿からランドマークとして意識され、『風土記』に記載されたのかもしれません。

山頂には、古墳(飯盛山1号墳)もあります。当館へお越しの際、ぜひ、登山にチャレンジして下さい。