中国の故事成語に見る犬の扱われ方

「戌年」に関連して、「犬」の話題です。

現在の日本では、全国の18%の世帯で犬を飼っているそうで、その数は1,200万頭にも達するそうです(財団法人ペットフード協会 平成23年度統計)。

こうした日本人と犬とのかかわりは縄文時代からはじまり、犬のためにお墓をつくるほど、犬は大切な存在だったようです。江戸時代にも、戒名や命日を記した墓石が立てられた犬のお墓、三途の川の渡し賃が供えられた犬のお墓が見つかっています。

では、中国での犬の扱いはどうでしょうか。
その一端を示すものとして、2,000年以上前から伝わる故事成語をみてみましょう。

狡兎死して走狗烹らる(こうとししてそうくにらる
 狩りの対象であるうさぎが死ぬと、猟犬も不要になって煮て食べられてしまう。
(=が滅びると、功臣も不要となり排除されてしまうことのたとえ)

 犬は食べられる対象でもあったようです。日本でも弥生時代以降、食べられていたことがわかっています。飛鳥時代以降、犬食の禁止令がたびたび出されていたことからも、通常は食べられていたことがわかります。

跖の狗、堯に吠ゆ(せきのいぬ、ぎょうにほゆ)
 跖(せき)という名の大盗賊が飼っていた犬は、堯(ぎょう)という伝説の聖天子であっても吠えかかる。
(=犬は悪人であっても忠誠心をもって仕えるが、相手が天子であっても他人には吠えかかる)

 犬の忠誠心が悪い方にはたらいた例えです。日本でも「〇〇の犬」なんて相手を悪く言う時に使いますよね。

狗吠緇衣(くはいしい)
 緇衣(しい)とは、黒い服のこと。主人に仕える犬でも、主人の服の色が変わると吠えてしまう。
(=人は外見が変わると内面まで変わってしまったと思われることのたとえ)

 服装によって見え方が変わるので気をつけましょう。それと同時に、服装にだまされないようにも気をつけましょう。

・・・・・・

犬に関する故事成語をいろいろと見ていますと、犬は身近な動物であるために扱われ方は冷たい感じがしました。せっかくの忠誠心があだになってしまうことも。

もちろん、大切に育てられた犬、愛玩用の犬も居たようですが、故事成語に表れた犬の地位を考えると、ちょっと気の毒に思えました。

ちなみに当館では盲導犬以外の動物の持ち込みは禁止されていますので、ご注意ください(フラワーセンターはOKです)。