「五月五日造」の鏡

「五月五日造」の鏡
 
 
現在、古代鏡展示館で展示されている鏡に「五月五日造」の文字がある鏡があります。隋~唐の時代(1,300年前)の八瑞獣紋鏡(八匹のおめでたい獣が表された鏡)なのですが、本当に五月五日に造られたのではなく、鋳造にとって縁起がよい日を記し、鏡の品質をアピールすることに目的があったようです。
五月は旧暦では夏至を含む夏、「五」は五行説(万物は5つの要素から成るという説)で火に通じることから、「五月五日」は熱・火という鋳造にとって縁起がよい日付であったようです。
兵庫県では、養父市の箕谷2号墳から「戊辰年五月」(608年か)と象嵌された鉄刀が出土しています。この「五月」についても、火を扱う鍛冶に縁起がよい日として記された可能性があります。