蹴鞠紋鏡①  他にもあった蹴鞠紋鏡

みなさんお元気でお過ごしでしょうか?

現在、古代鏡展示館では、令和4年夏季スポット展示『蹴鞠紋鏡 鏡の裏に“けまり”で遊ぶ』が開催中です。

当館で展示している古代鏡の裏面には、神仙世界などが表された神獣鏡や、西アジアの楽園が描かれた海獣葡萄鏡など、今では非現実的な想像上の世界が表されたものが多くあります。

その中で、今回展示する「蹴鞠紋鏡(しゅうきくもんきょう)」は、園庭で蹴鞠をして遊ぶ男女の情景が表されており、これまで展示中の他の鏡とは趣向の違った、世俗的で現実的なモチーフが取り扱われています。

蹴鞠紋鏡(古代鏡展示館所蔵)
〈唐時代末~宋時代/直径15.1cm〉


今回のスポット展示にあたって「蹴鞠紋鏡」を調べていく中で、いくつか類例(同様のモチーフの鏡)があることがわかりました。

現在確認できる類例は、中国にある中国国家博物館、湖南省博物館、そしてスイスにあるFIFA Museumに所蔵されています。

以下に各博物館の蹴鞠紋鏡が紹介されているウェブサイトのURLを載せておきます。
●中国国家博物館(※2022年7月閲覧)
http://www.chnmuseum.cn/zp/zpml/csp/202008/t20200826_247464.shtml

●湖南省博物館(※2022年7月閲覧)
http://www.hnmuseum.com/en/zuixintuijie/bronze-mirror-football-design

●FIFA Museum(※2022年7月閲覧)
https://www.fifamuseum.com/files/upload/editorials/07_Cuju/02_How_the_game_was_played/FWFM_1674_front.png

湖南省博物館所蔵の蹴鞠紋鏡模式図


描かれた紋様を比較すると、当館所蔵の鏡はFIFA Museum所蔵品と同一の紋様です。

中国国家博物館と湖南省博物館の鏡については、人物や背景となる園庭の庭石や柵などの配置はほぼ同じですが、それぞれの細部表現が異なり、また背景の草の表現や配置にも違いがあります。

また、鏡面の面径も当館所蔵品は15.1cmであるのに対し、中国国家博物館、湖南省博物館の所蔵品は11cmと約4cm小さくなっています。

このような違いが、時期差なのか具体的にどのような意味を持つのか、にわかに明らかにできませんが、蹴鞠紋鏡には同じモチーフの複数の原型があり、広く需要があったことが分かります。

当館と同一紋様の蹴鞠紋鏡を所蔵するFIFA Museumは、サッカー(アソシエーションフットボール)に関連する資料のコレクションがあります。ミュージアムのホームページでは、フットボール前史として古代ギリシャ・ローマやメソアメリカの球技、日本の蹴鞠(けまり)や中国の蹴鞠(Cuju)について紹介されており、中国の蹴鞠の歴史をする解説なかで「蹴鞠紋鏡」について触れられています。
【典拠:https://www.fifamuseum.com/en/blog-stories/editorial/(※2022年7月閲覧)】

そして今年、2022年には、11月にカタールでサッカーW杯の開催が予定されています!!

W杯の前に、当館で展示するFIFA Museum所蔵鏡と同一紋様の「蹴鞠紋鏡」をのぞき込んで、サッカー(アソシエーションフットボール)にも通じる「蹴鞠(しゅうきく/けまり)」の歴史について新たな発見を探してみてはいかがでしょうか?

展示では、中国の蹴鞠を中心に日本の蹴鞠との関係性などについても解説資料等で紹介しています。

展示期間は、令和4年7月21日(木)~9月11日(日)(水曜日休館)です。

是非、この機会にご覧下さい。

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