令和4年度 夏季スポット展示『蹴鞠紋鏡』がはじまりました。

7月に入って暑い気候が続きますが、みなさんお元気でお過ごしでしょうか?

今年の夏のスポット展示は、「蹴鞠紋鏡(しゅうきくもんきょう)」を展示します。

令和2年度に新たに寄贈された千石コレクションのひとつで、今回が初のお披露目となります。


蹴鞠紋鏡は、男女が園庭で蹴鞠(しゅうきく)をして遊ぶ情景が鏡の裏面に表されています。

左側の女性が鞠を蹴り上げて、右側の男性がそれを待ち構える様子がうかがえます。

ちなみに中国語の「蹴鞠」は、ピンインで「cùjú」と読み、英語では「Cuju」と表されます。


蹴鞠紋鏡(しゅうきくもんきょう)〈古代鏡展示館所蔵〉
時期:唐時代末~宋時代(10世紀~13世紀)、直径15.1cm
〈上:写真、下:模式図〉


日本の蹴鞠(しゅうきく/けまり)は、複数の人が鞠を蹴り上げて、手を使わずに次々と蹴り渡していく球技といったイメージがあると思います。

下の画像に平安時代末期の蹴鞠の様子がわかる『年中行事絵巻』の一部分を抜粋しました。
蹴り上げられた鞠が画面右上に見え、木々に囲まれてそれを見上げる公家達の様子が描かれています。
※奇しくもちょうどこの記事の作成時点に、鎌倉幕府執権の北条義時を主役とした2022年大河ドラマの第27回の放送では、当時の皇族や公家、武家達が蹴鞠に興じている様子が表されていました。これを参考にすると当時の様子がイメージしやすいかもしれません。

『年中行事絵巻』〈14軸の部分〉に見える蹴鞠の様子
(出典:国立国会図書館デジタルコレクション)
※平安時代末期に描かれた『年中行事絵巻』の江戸時代後期の写し。


「蹴鞠紋鏡」と『年中行事絵巻』に描かれた蹴鞠は、近い時期のそれぞれの状況が表されているとみられますが、どうやら鏡に描かれた中国の蹴鞠の様子は、日本と少し違うようです。
 
今回の展示では、実物の鏡とともに中国の蹴鞠について紹介しています。
日本の蹴鞠との関係について新たな発見があるかもしれません。
 
 展示期間は、令和4年7月21日(木)~9月11日(日)(水曜日休館)です。
 
是非、この機会にご覧下さい。
(K)