明鏡止水
鬼にされた妹を人間に戻すため、鬼と戦う兄を主人公にしたアニメが大ヒットしています。 テレビを見ていると主人公らが鍛錬する道場のシーンで、背景の額の文字「明鏡止水」が気になりました。 明鏡とは、くもりない鏡、止水とは静かな水の意味で、邪念がなく、静かに澄んだ心境を表す言葉です。(『広辞苑』より) 語源は戦国時代の思想家である荘子の『荘子』から。日本でも剣術の心構えなどで用いられています。アニメの中で流行語にもなった「全集中!」にも通じますね。 当館にも「明鏡止水」と似た銘がある銅鏡があります。 瑞獣龍鳳紋鏡 (図255 唐) 第2展示室にて展示中 「鑑若止水」(鑑は止水のごとく) 鏡面の曇りなき清らかさを静かな水にたとえています。こちらは鏡の品質をアピールしているので「明鏡止水」と比べると若干の邪心を感じてしまいますが。 荘子の教えは自然体を基本とし、道教の祖の一人として唐の時代にも影響を及ぼしていました。そのような理由から、銅鏡の品質をたたえる詞に引用されたのかもしれません。 銘は楷書で読みやすいです。ぜひ実物をご覧ください。