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明鏡止水

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 鬼にされた妹を人間に戻すため、鬼と戦う兄を主人公にしたアニメが大ヒットしています。 テレビを見ていると主人公らが鍛錬する道場のシーンで、背景の額の文字「明鏡止水」が気になりました。 明鏡とは、くもりない鏡、止水とは静かな水の意味で、邪念がなく、静かに澄んだ心境を表す言葉です。(『広辞苑』より) 語源は戦国時代の思想家である荘子の『荘子』から。日本でも剣術の心構えなどで用いられています。アニメの中で流行語にもなった「全集中!」にも通じますね。 当館にも「明鏡止水」と似た銘がある銅鏡があります。 瑞獣龍鳳紋鏡 (図255 唐) 第2展示室にて展示中 「鑑若止水」(鑑は止水のごとく) 鏡面の曇りなき清らかさを静かな水にたとえています。こちらは鏡の品質をアピールしているので「明鏡止水」と比べると若干の邪心を感じてしまいますが。 荘子の教えは自然体を基本とし、道教の祖の一人として唐の時代にも影響を及ぼしていました。そのような理由から、銅鏡の品質をたたえる詞に引用されたのかもしれません。 銘は楷書で読みやすいです。ぜひ実物をご覧ください。

秋季企画展が始まりました

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 10月に入り、フラワーセンターでは秋の花も咲きはじめました。 古代鏡展示館では、秋季企画展 「象嵌ー象(かたど)る/嵌(は)めるー」 も始まっています。 象嵌 (ぞうがん)とは、金属の表面を窪ませ、そこに金銀や貴石など異なる素材をはめ込む技法です。今回の展示では、象嵌による装飾を凝らした様々な作品をご覧いただけます。中でも 帯鉤 (たいこう)は、企画・常設展合わせて15点展示しています。 帯鉤とは、ベルトの留め金具(フック)のこと。春秋戦国時代、遊牧民族との接触の中で動きやすい胡服が取り入れられ、その中でズボンをとめる革帯の先端に取り付けられたのが帯鉤でした。その後前漢の時代まで発達していきました。 帯鉤の使い方 帯鉤は、実用本位のシンプルなものから、装飾を凝らしたものまで形、材質は様々。兵士などの帯鉤は質素ですが、高位の人物が用いる帯鉤には華美な装飾を施したものがありました。秦始皇帝陵の兵馬俑の中にも革帯と帯鉤を表現したものが見られます。 左) 鉄製金銀象嵌絡龍鳳紋琵琶形帯鉤  長さ22.7㎝  戦国時代 (龍や鳳凰が絡む紋様を金銀で象嵌した、琵琶のような形をした鉄製の帯鉤) 右) 鉄製金銀象嵌菱円紋匙形帯鉤  長さ7.8㎝ 戦国時代 (円や菱形のような紋様を金銀で象嵌した、半円の匙のような形をした鉄製の帯鉤) 見学の際は、拡大鏡を貸し出ししています。他の象嵌を施した作品とともに細密な工芸技術の粋をご覧下さい。

銅鏡を科学する

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 古代鏡展示館では、千石コレクションを皆様に鑑賞いただく展示のほかに調査研究事業も行っています。 県立考古博物館は平成30年から3年にわたり、大手金属分析調査会社である日鉄テクノロジー株式会社と共同研究を行ってきました。千石コレクションの銅鏡30面を対象に化学分析を行い、時代ごとの基礎データを蓄積するとともに、分析結果の考古学的な検討を行いました。 共同研究の区切りとして、関係者を対象に成果報告会を行いました。 青銅の主成分である鉛の産地推定についての報告 最新の分析により詳細に示された数字を読み取り、検討していく中で、大きな成果を得ることができました。 この研究成果を皆様に発表できる機会を現在計画しています。ご期待下さい。