謎の石像

古代鏡展示館へお越しの際、入り口の向かい側に動物の姿をした石像が1対置かれているのにお気づきでしょうか。フラワーセンターのお客様も「何?」とのぞき込みながら歩かれているのをよく目にします。

石像の正体は琉球の守護神シーサーです。フラワーセンターが開園した昭和51年、沖縄県から兵庫県へ友好の証として贈られたもの。以来40年余りフラワーセンターを見守り続けています。
ガイドブックなどでよく目にするシーサーは屋根の上にいますが、これは瓦葺きが普及した近代以降の姿。古くは城門や集落の入り口などに一対を設置し、悪霊の侵入を防ぐ役目をもっていました。
シーサーはその姿の通り獅子に由来し、さらにさかのぼると西南アジアに生息したライオンにたどりつきます。ライオンは、力の象徴として古くから美術品や紋章に表現されました。これが中国へ伝わると獅子となり、瑞獣として鏡のモチーフにも取り入れられます。当館で最も数の多い海獣葡萄鏡の主紋様である海獣も西から伝わった獅子紋の影響を受けてかたちづくられたものと考えられています。

               海獣葡萄鏡(図録番号225)

中国でかたちづくられた獅子は、さらに周辺地域へ広まりました。日本では絵画や工芸品の中に様々な姿で表現され、神社の狛犬やお正月の獅子舞など日常風景にも溶け込んでいます。そして、琉球へ伝わった獅子を琉球語で表したのがシーサーでした。

6月23日は沖縄戦が終結した日。獅子の文化は大きな輪でアジアを取り巻き、そして今も私たちの周りで生き続けています。様々な獅子の姿をフラワーセンター・古代鏡展示館でご覧下さい。