四神シリーズ① 落語の中の四神

主に前漢代から隋唐時代の鏡に表された四神(しじん。ししん)。
日本でも高松塚古墳やキトラ古墳の壁画に描かれていたこともあって、古代史好きの方ならご存じの方も多いはず。
今では、ゲームのキャラクターにもなっているそうです。

何か、身近に四神を感じられるものがあれば、と思っていますと、またまた落語の中に登場していました。

『百川』という古典落語で、なまりの強い登場人物が「主人家の抱え人」と話したところ、「四神剣(しじんけん)の掛け合い人」と聞き違えられ、騒ぎになっていく、という内容です。

「四神剣」が祭りで使われる道具であることを知らないと、この聞き違いの意味がわかりません。『百川』は江戸時代終わりごろに実在した料亭がモデルといわれているので、この頃の人々には「四神剣」は身近な存在だったのでしょう。
現代でも、「四神剣」を使う祭りがあるそうで、神具の販売店で売られているようです。

「四神剣」は「四神旗(しじんき)」ともいわれ、四神の絵が描かれた4本の旗のことです。
古くは、大宝元年(701)の春正月乙亥の日に、文武天皇によって行われた年始の儀式において、同じようなものが使われました。

大極殿正面の正門(南側)には、烏形の幡(大きな旗)、
左側(東側)には、日像・青龍・朱雀の幡、
右側(西側)には、月像・玄武・白虎の幡、
がそれぞれ立てられました(『続日本紀』)。

なお、この時に四神旗を立てた跡が藤原宮跡(奈良県橿原市)で発掘調査により見つかっています。(奈良文化財研究所 平成28年度調査。詳細はこちら)。

今後も、現代にひっそりと隠れている四神の姿を探し出し、紹介していきますので、お楽しみに。