ナゾの紋様

中国では、戦国時代(前453~前221)以降銅鏡の制作がさかんになります。
この頃の銅鏡は、鏡背面に細かい地紋を施し、その上に主紋様を表すのが特徴です。

四獣四山字紋鏡(図56 戦国時代)
(9月22日まで展示中)
写真の鏡は、地紋の上に表した漢字の「山」のような形をした4個の紋様を主紋様とし、その間に4体の獣像を配置しています。
漢字文化圏に暮らす私たちが見ると、「山」にしか見えない紋様。この時代には漢字の「山」はまだ存在していません。だから「山」は文字ではなく紋様(山字紋)であり、これをを主紋様とする鏡なので、山字紋鏡と呼んでいます。
では、山字紋は何を表しているのでしょうか。
まず紋様の見方です。鈕のある中心から見れば「山」字形。こちらの見方が主流ですが、鏡の縁部から見て「T」字形だと言う研究者もいます。
紋様の解釈も諸説があります。文字どおり山岳を表している、青銅器に描かれた雷紋から派生した紋様等々、いまだに決着していません。

山字紋鏡は、戦国時代後期(前3世紀頃)に盛んに制作されました。鏡背面に表される山字紋の数は3~6個の4種あり、例えば3個なら三山字紋鏡と呼んでいます。
五山字紋鏡(左)と六山字紋鏡(右)
(図59)    (図58)
五山字紋鏡や六山字紋鏡は、山字紋の配置から星(✰・✡)を表しているようにも見えます。

千石コレクションには山字紋鏡4種全てがあります。現在は1面のみ展示していますが、各種類を順次展示しています。シンプルながらも謎を秘めた「山」の字のような紋様。さて、あなたの解釈は・・・