四神シリーズ④ 四神ってなに?

ところで四神とはどういうものでしょうか。

奈良県明日香村の高松塚古墳やキトラ古墳の壁画にもあり、絵を見れば「あぁ」と思われる方も多いはず。
「青龍(せいりゅう)」 東に配置
「白虎(びゃっこ)」 西に配置

「玄武(げんぶ)」 北に配置


「朱雀(すざく)」 南に配置

キトラ古墳の四神(一部復元)
(来村2005より)

デザインは時代や地域によって異なりますが、この4種類が方位に合わせて配置されていれば、四神とみて間違いないでしょう。

龍、虎、鳥、亀と蛇の5種類の獣をそれぞれ東西南北の方位に割り当てたもの(北だけ2種類の獣)で、五行説の影響を受けています。

五行説とは、戦国時代(紀元前250年頃)に体系化されたもので、すべてのものは「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素によって成り立ち、それらが相互に働きあって世界に様々なものが変化し、循環する、という考え方です。
五行説は天や自然の変化を説明する理論で、方位や色、季節にも影響し、自然界を秩序立てる枠組みにもなりました。

五行の割り当て表

この五行説によって、
東の龍が、東の色の青色となり「青龍」
南の鳥が、南の色の赤色となり「朱雀」
西の虎が、西の色の白色となり「白虎」
北の亀と蛇が、北の色の黒色となり「玄武」
となりました。
 ※「玄」は「玄人(くろうと)」と読むように奥深い黒色の意味があります。

ちなみに、青春、白秋や、玄冬、朱夏などの言葉はこの五行説から生まれた熟語だそうです。

<参考文献>
来村多加史 2005『キトラ古墳は語る』日本放送出版協会
来村多加史 2008『高松塚とキトラ 古墳壁画の謎』講談社