瑠璃唐草という花

 フラワーセンターのゲートをお入りいただくと、正面の花壇に小さな青い花がたくさん咲いています。その花の名はネモフィラ・メンジェシー(以下ネモフィラと略)。北アメリカ原産の一年草です。

ネモフィラ・メンジェシー

ネモフィラはルリカラクサ(瑠璃唐草)という和名を持っています。花が青色(瑠璃色)をし、葉が唐草紋様に似ているから命名されたとか。

実は瑠璃も唐草も古代鏡と関連の深い言葉です。

「瑠璃」はここでは青色の一種を指しますが、ガラスの古名や青色の宝石のことでもあります。いずれも唐時代の宝飾鏡の紋様やや工芸品に取り入れられています。

「唐草」は、植物の茎(くき)や蔓(つる)が絡み合うように伸びる曲線紋様の総称で、そこに固有の花、葉、果実を配することもあり、その表現は多種多様です。エジプトやギリシャに起源があるとされ、その後仏教文化とも融合、中央アジアを経由して中国へ、そして日本にまで伝来している紋様です。

唐草のように見える?ネモフィラの葉



鏡の中の唐草紋様(下写真は部分拡大)
貼銀鍍金双獣双鳳紋八稜鏡(図244)より

古代中国鏡、中でも隋唐時代の銅鏡には唐草紋がさまざまな姿で表現されます。ネモフィラは唐草紋様のように茎がうねるように伸びてはいませんが、ここに示した銅鏡の唐草紋様にある3つや5つに裂けたような形の葉をもっています。それが唐草紋様のような名の由来でしょうか。

ネモフィラは暑さに弱く、見頃もあとわずか。フラワーセンターにお入りいただいた際は、ぜひご覧になって下さい。