天帝のこと
桃太郎などの昔話の主人公が登場する携帯電話のテレビコマーシャルの中で、有名俳優が「 天帝 (てんてい)」を演じていることが話題になっています。 彼が演じる天帝とは、中国における天上の最高神です。 中国歴代王朝の王・皇帝は天帝をまつり。善政を行えば天帝がそれに応えて天から恵 みを与え、悪政を行えば王朝の滅亡につながると信じられていました。 時代を通じて絶対的な存在であった天帝ですが、その姿は時代によって変化します。今回は当館の展示の中から天帝に関連する作品を紹介します。 獣面紋觚 (じゅうめんもんこ)(商時代)より 器面に表された角を有し、大きな目が特徴の獣面紋は、悪食の怪物である「 饕餮 (とうてつ)」と解釈されていますが、天帝の姿と解釈する説も有力です。 環状乳神獣鏡 (後漢時代 図154)より 環状乳神獣鏡や画紋帯神獣鏡の画紋帯部分(写真の矢印部分)には、日月の運行とともに連なる龍が曳(ひ)き天帝が乗車する 雲車 (うんしゃ)が描かれています。 重列式神獣鏡 (後漢時代 図141)より 天の中心に位置し、不動の星とされた北極星を神格化した 天皇大帝 (てんこうだいてい)。 道教 が普及した時代の最高神の姿です。 なお、唐時代(618~907年)頃の七夕伝説では、物語の主役の一人である織女(織姫)が天帝の子とされていたようです。